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2004年

■会場
岡山県英田郡作東町 さくとう山の学校、作東町老人福祉センター、作東町立粟井小学校

■日程
7月30日(金)
ウェルカムセッション(若尾裕)
ドローイング・ワークショップ(1)(大倉侍郎)
インプロヴィゼーション・ワークショップ(1)(ウルス・ライムグルーバー)
7月31日(土)
めざましセッション(新井英夫)
ドローイング・ワークショップ(2)(大倉侍郎)
インプロヴィゼーション・ワークショップ(2)(ウルス・ライムグルーバー)
コンサート&発表
8月1日(日)
めざましセッション(寺内大輔)
インプロヴィゼーション・ワークショップ(3)(ウルス・ライムグルーバー)
さよならパーティ

■講師
●ウルス・ライムグルーバー Urs Leimgruber
ヨーロッパを中心に活躍し、長年、新しいサックス奏法と未知のサウンドをたゆまず探求してきたライムグルーバー、いよいよ初来日です。インプロヴァイザー、作曲家として独自の世界を展開する彼のワークショップに、どうぞご期待ください。

スイスおよびドイツで彼のワークショップを受講し、このフェスティバルでは通訳をつとめる山田衛子(ハイデルベルク在住・即興音楽家)は、彼の音楽をこう語っています。

「楽器が彼自身の呼吸、声、身体、魂となって自ら響きだすようだ。いや、彼自身が響きだす楽器となってしまっている。」(音場舎通信49号より) 

また、名音楽評論家ベルト・ノグリックは、「彼の演奏は、まるでサックスという楽器を楽器でなくしている―脱楽器化―かのようだ。楽器を、そこにつきまとう副次的な意味から開放している」、さらに「しかも、その複雑な構成の中にあって、思いもよらぬやり方でピュアであり、サウンドそのものなのだ。」(Blue Log/for 4 ears recordsライナーより)と述べています。

彼の即興ワークショップを開催できることは、日本の音楽界、即興シーンにとってすばらしい出会いを生むでしょう。一味違ったハードな即興演奏に触れてみませんか?

●大倉侍郎
大倉さんは、クスノキを使った立体作品を数多く制作されています。作品からはクスノキのすっきりした良い香りが漂ってきます。制作手法はシンプルかつミニマルですが、その中に古風な趣とデジタルな美しさが同居しています。じっと見ていると作品が3Dのように動きだし、脳の中で変化していくかのようです。見る角度、方向、光の差し方、影の濃さ、色のバランス、そして作品断面への目のつけ方・・どっち側を見るか(どっち側が見えるか)、によっても異なるイメージを作ります。

CMFワークショップでは、大倉さんの指導でドローイングによる制作を体験します。芸術やアートへのいつもの感覚をちょっとずらして、その生まれる瞬間を体験してみてください。思い思いに持ち寄ったもの、道すがら拾ったもの、手にしているペットボトル、廃品も含めて偶然出会った「何か」。ワークショップへは「何か」(ペイントされるもの)を持っておいでください。
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2004年の感想

参加者アンケートから


ウルスさんのワークショップは、即興演奏しているときにやってしまいがちな「ただやみくもに音を出してしまう」ことから「どのように意図をもって、自分自身の音楽をするか」を考え直すことができてよかったです。
自由な即興というのは無秩序に音をだし続けることではないのだ、ということをウルスさんから真摯に教えてもらった気がします。
コンサートでウルスさんが自分をさらけだすように演奏されていて、私もあんな風に自分を開いて演奏できたらいいなと感じ入りました。

大倉さんのドローイングは、色をぬって線を引く、という作業が単純におもしろくて、小学校夏休みの工作みたいに、熱中してしまいました!
大倉さんに聞いてみたら、「人が自分の意図で描く線なんてたいしたことはない。人間が頭で考えることなんてつまらない。なんの意図もなく、ただ線引きに集中していても、その線を引く人によって独自の線になる。それがおもしろい。」というようなことを言われ たのがすごく印象に残りました。それから、社会と芸術の接点ということを強調されていたのも。

新井さんのダンス、オブジェにうまく関わりながらの表現がすごいなと思いました。それから、今年もたくさんの人たちと出会えて、ほんとにいい経験でした。
CMFのようなアットホームな雰囲気ならではだと思います。ごはんもすごくおいしくて、幸せでした!ありがとうございました。 
(三宅博子)

私は以前ピアノを弾くときに、どういう音を響かせたいかとタッチを考えたりするのと、絵を描いたりする方が、一筆、一筆、どう描いていくと思うのは似てるのかもと思ったりしていた事があったので、アートの分野も一緒に出来て良かったと思っています。
(今岡美保)

I had a good trip back to Paris and I arrived well at home.
Thank you again for your invitation to give me the oppurtunity meeting somuch nice people.
I am deeply touched by your culture and especially by you and your friends.
I keep my experiences und strong impressions in my heart.

talk to you soon
and best wishes for you

Urs san
(ウルス・ライムグルーバー)

半分くらいの参加でしたがとても充実した内容だったと思います。特に今回造形とのコラボレーションがあったのがよかったです。
また、ウルスさんのコメントが素晴らしく、本当に勉強になりました。ありがとうございます。(小林田鶴子)

私は高齢者と精神科での音楽療法の仕事をしていますが、参加者が音楽で遊べたらどんなにいいだろうーといつも感じていて、今回、自分が遊べることが出来たらいいなーと思って参加をしました。
そして、ドローイング作品に囲まれた、とても素敵な音楽の空間での即興のワークショップは、期待どおりの大きな体験でした。
初めは殻をなかなか破れない自分を感じていましたが、それはセッションに参加するメンバーさんの気持ちに繋がると思いました。でもワークショップが進むにつれて、みんなと共に音を出すことを楽しんでいることに気づき、くみ先生のバイオリンをお借りして、音を出したくなりました。「音と関わる、人と関わる」ことで、より自分が音を出したくなることに気が付きました。
全体の感想として、即興をするということは、「その人自身が、その人を大事に思うこと。」に繋がるのだと感じました。
このままの形をセッションには持っていくことは出来ませんが、参加者の安全を工夫した上で、ぜひ活かしていきたいと思っています。ありがとうございました。
              M,K


初めての参加でしたが、本当にすごく楽しかったです。
音楽と芸術(造形)とダンス、3日間でたくさんのことが経験でき、
大満足です。(住田郁子)

本当に来て良かったです。ありがとうございました。ごはんがとてもおいしかったです。
(植川ゆかり)

即興について様々な、具体的な話がとても面白かったです。
コンサートで全員が、濃い即興をしていて、今までのコンサートとは意識が違っていたと思います。全員強制参加だったのが、良かったのだと思いました。アートはとても楽しいのですが持って帰れなくて残念です。
何かが開放された感じでした。(三宅珠穂)

いろいろと条件の大変な中でしたが、結果はベストだったと思います。
(新井英夫)

即興の魅力を改めて実感し、その素晴らしさを通じて心がうるおった。
(?)

楽器のできない人が、やるための、とっかかりの場になれば良いと思いました。
だからもっと素人が来れる様になったら良いナア~
(国川雅則)

とても楽しかったです。来年も楽しみにしています。
(寺内大輔)

内容がとても楽しくてためになった上、活動経験の長いすばらしい人達と知り合えてとても実のあるものでした。
(藤田大輔)

自分も楽しめるとともに、プロのコンサートを聞いたり、みんなで創り上げる内容にとても満足しています。
(三宅郁穂)

ミュージョックフェスティバルというのを知らずに来たので、音楽の方の多さに(当たり前ですが)びっくりしましたが、いつもとは違う世界覗くことができ、たいへんよかったと思います。また学生の参加だったので、色々な年齢の方、職業の方とお話できて楽しかったです。
(稲田明日香)

とても充実した3日間でした。ウルスさんの即興に対するコメント、空間の取り方や構造など大変印象に残りました。特に「方向性の見えない音楽、一見変化のない音楽は観客を挑発的な気分にする」「何かしないといけない気持ちにさせられる。」というお話は私にとり新しい発見でした。
(若杉晶子)

初参加で、ひとり旅だったので少し不安もありましたが、1日目のみんなでやった『雨』でそんな不安も吹き飛ばされて、とても楽しい3日間でした。

インプロビゼーションのワークショップやその後の休憩時間に、『silence』についてウルスさんと、英語がしゃべれるみなさんが討論しているのをききました。
私は自分のはっきりした意見が言えるくらい『音』について考えたことがなかったから、その時は聴くので精一杯だった(英語だったし(;;))けど、私も誰かに自分の意見を聴いてもらったり、聞いたりしたいので、これから自分でよく考える時間をつくって、本を読んだりする時間を増やさなければ!と思いました。
あと、英語が何気なくしゃべれるといいな、と、かなり思いました。

ドローイングはよくわからない分野だったので、流れにまかせてなんとなくやっていたら、なんとなくそれらしい作品たちが出来ていたので、びっくりしました。
また機会があれば、足を踏み入れてみたいです。
大倉さんがおもしろいひとで、お昼からビールを一緒に飲んだのも、楽しかったです。

みずかねさんの料理は今まで人生で食べた料理のなかで一番になるくらい美味しかったです。見た目もきれいだし、ハムの中にぶどうが入ってたやつがすんごいすんごいおいしかったです。でも、もし私が家で、ハムの中にぶどうを入れて食べても、変な味しかしない気がするので、やっぱりみずかねさんはすごかったです。
(新木ありこ)

即興音楽のワークショップは初めてだったので、とても新鮮で、面白かったです。
その中で、即興というものは、その人の内面を映し出すもので、いろいろな引き出しのある人には、様々な角度の音楽があって、また、いろいろな人が集まると、より、音楽が豊かになっていくように感じました。
今回のフェスティバルで、多方面の方と接することができ、楽しかったです。
(藤井まどか)

初めての参加、しかも一人での参加で、最初はどうなる事やらと不安でした。
でも、同室だった皆さんがとても良い方達で、初日からすごく楽しいスタートとなりました。
また内容も、初日の即興のワークショップでは「ついていけるかな?」という不安が大きくて楽しむところまでいきませんでしたが、最終日には「仕事復帰できるかな?」というくらい頭も体も即興付けになっていて、現実の生活に戻れないような気持ちになっていました。
いろいろな方とお会いでき、話も出来て私にとってはとても良い経験になりました。
活動場所は決して近くはないですが、ここで出会えた皆さんとは末長くお付き合いしていきたいと思いました。
(田崎教子)

「音楽」を媒体として、様々な年齢、専門分野、経験、それらに基づく考えをお持ちの方々と知り合えたことが、私にとってはまず大きなことでした。皆さんとお話したり音楽する中で、自分の考えや姿勢に自信を深めたり、刺激を受けることができたと思います。目から鱗が落ちまくった、とても有意義なフェスティバルでした。Urs先生、大倉先生、若尾先生ご夫妻を始め諸先生方、何度も参加されている先輩方、私と同じく初参加だった皆さん、楽しかったです。ありがとうございました!
(浦雄一)


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若尾久美さんのレポート
夏のイベント・・クリエイティブ・ミュージック・フェスティバル、終了しました。
(参加人数やや少なめで30人足らずでした。)
場所は岡山県北の作東町というところ。2日目から雨が降ってきましたが、ドローイングは終わっていたので無事でした。
ウルス・ライムグルーバーさんって、どんなひとだろう?と思っていたんですが、(写真ではこわそう・・)住んでいるパリの雰囲気がする素敵な人でした。
えんえんとしゃべる・・ということもなくどちらかというと言葉を選んでいる感じで大変的確なポイントをついた話でしたね。3つのWSが最終日のWSでうまく輪のようにピタリと完成して、すごい!と感じました。
大倉さんは明るくて、そのものずばりと端的に話されるのが、良かったです。
ややこしいことが苦手な私は、大倉さんのこのペースが大好きなんです。
ショートセッションを受け持ったダンスの新井さん、目覚ましセッションの寺内大輔さん、とても良い内容で30分と短いのに、大変楽しめました。

CMF04記録(若尾久美)



2004.7.30(金)
朝10時すぎ、2台の車に荷物を積んで出発。ドローイングWSのペンキが重い。JR芦屋駅10時半待合せの2人と合流。13時半ころ「さくとう山の学校」着。さっそく準備にかかる。姫新線で来た2人とゲストの大倉侍郎さん、時間通り到着。貸切ジャンボタクシーも到着。今回は、やや早めにほぼ全員到着したのでスムースにウェルカムセッションに入る。セッション担当は若尾裕。

16時からドローイングWS1回目
「山の学校」の廃品(自転車・遊具・鐘・タイヤ・・などなど)と、各自が持ち寄ったさまざまなものに白をペイント。途中一回乾かして2度塗り。なるべく話さないで塗ったほうがいい、とのことで、一時ちょっとだけ静かになった。黒ずんで汚れていたものが真っ白になっていった。私は古い木の椅子に塗った。

18時ごろ夕食 大きい塗りの箱にいろいろなお料理が詰まっている。お汁にジュンサイまで入っている。

20時からいよいよ待望のインプロヴィゼーションWS1回目
楽器を持って講堂に集まる。ちょっと緊張。はじめに、一人づつ順番に一音づつ出す。「この音がないと生きてゆけない・・というくらい大切な音」を出すようにとのこと。これを2回やったあと、「一人3回まで音を出してよい」というルールでセッション。3回のうち1回はサイレンス・・つまり音を出さないという決まりだ。ということは一人2回だなあ・・と単純に思っていたらかなり音が多い。聞いているとなかなか終了しない。あれれ、と思っていると、ウルスから「3回と決めているのにそれ以上出すのは平等じゃない」とのコメント。うふふ。でもみんな出したいんだよね。それで、ちょっと反論めいた感想もあったけれど、時間切れでWS終了後それぞれにゆっくり話し合っていたらしい。

23時ころから恒例のお茶会。ビール好調。

31日(土)
朝食を終えて9時に粟井地区センターへ出発。朝の田舎の静かな道路を10台近い車が行列行進。

10時から新井英夫さん「動き」の「めざましセッション」。ペアで向かい合って、鏡に映ったように同じ動作をするのがおかしい。気がかりだった施設移動がスムースにいってほっとした。

10時30分からドローイングWS2回目
いよいよ黒で線を引いていく。大倉さんによると一人の線ではなくいろんな人の線が入るとグンと面白くなるそうだ。黒のペンキで真っ白の作品に黙々と線を引く。大倉さんはペンキを注いだり、筆を洗ったりとみんなが書きやすいようにと忙しそうだ。美術家って大変なんだなあ。白と黒だけの世界なのにどことなくざわめいているような明るいオブジェ。

12時半ころお昼ごはん
粟井地区のボランティアさんが作られたおいしいごはん。バラ寿司と鮎の塩焼き、おすまし(木の芽入り)、青竹の容器に入ったきゅうりのお漬物。どれもすごくおいしい。できたてのやわらかいお団子も!餡子も手作り。

14時からインプロヴィゼーションWS2回目
体育館で丸く円になって椅子に座る。「いろいろな楽器があってオーケストラみたいだ」とウルスさん。今回はフルート、サックス2~3人、ホルン、笛、バイオリン3人、チェロ2人、ガンバ・・などなかなか多彩だ。ウルスの「ハンドサインによるセッション」。そして「ピアニッシモだけのセッション」。このセッションが終わったあと、なんのコメントもなく、ずう~っと黙ったままだったので変だなあ・・と思っていたらまた静かな演奏が始まった。あとで通訳の山田さんに聞いたら、ウルスはPPの演奏が終わった後「その場の音を聴こう」と言った(つもり?)らしかった。
最後にウルスは、寺内君が持ってきていたシンギングボウルにみんなのカードを入れて、おみくじを引くようにしてコンサートの演奏順番を決めていった。「こうするといつもうまくいくんだよ」といいながら。確かにすごくいい組み合わせができた。「事前に話し合ったり打ち合わせしたりしないように」とウルスさん。

18時半ころからミズカネシェフの夜ご飯。
カレーライスとハーブをまぶしたナスのてんぷら。おっ、おいしい。昼の和食とのバランスがいい。採れたてのみずみずしいトマトも山盛り。

19時30分からコンサート
今年のコンサートは、さっきのWSで決まった順に開始。
私は倉本さんと寺内君とのトリオ。倉本さんは去年より音の動きが早くなっている。寺内君は、はじめはピアノを弾いていたけど途中でケンハモと声。やはり声がいい。

コンサートのことはまた別に書くことにして夜はお茶会第2弾ビールパーティ。差し入れお菓子いろいろ。

1日(日)
朝から雨が降っている。車に相乗りで体育館へ。

9時半から寺内さんの「めざましセッション」
「楽器を持った一人一人がテレビのチャンネルになって、リモコン係りの人が指揮をするようにチャンネルを変える」というアイデアのセッションが面白かった。

10時からインプロヴィゼーションWS3回目。
昨晩の通りにもう一度演奏してウルスさんのコメントをもらう・・という趣旨で開始。「演奏楽器や内容は変えてもいい」とのことでかなり変わっていた。ウルスさんは演奏を聴いたあと、短いコメントを言ってくれたけれど、どれもものすごく的を射ている。ピタリと当たる?占いみたい。演奏も昨晩とは打って変わって開放的でチャレンジングだった。最後に全員で自由なセッション。

12時半ころからお楽しみのパーティ。
ミズカネシェフの即興料理が次々と出てくる。あの予算でこれだけのものを作れるとは、さすが! 心と舌でびっくり。メニューは多すぎて書けないけど、ほうれんそうのコロッケというのがめずらしくておいしい。食べながら話しながら・・さらに次々に料理が出てくる。

15時ころ解散。
お片づけ・・みなさまお手伝いありがとう。
粟井地区センターのみなさまお世話になりました。

荷物を積んでウルスさんと山田さんと一緒に2台の車で帰途に。7時半ころ到着。疲れたけれどとっても楽しかった。無事に終わってホッとうれしいです。
ウルスさん2日午前8時帰国。

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倉本高弘のレポート

2004年のクリエイト・ミュージック・フェスティバル
神戸大学の若尾先生が主催されているクリエイト・ミュージック・フェスティバルは2004年で第7回となったが、若尾家が関西に拠点を完全に移した事から前回までとはかなり異なることになった。
第1回から事務的な部分を担当していたNORAの3人が抜け、若尾久美さんがその部分を一人で仕切る事になった。
会場も使い慣れた(?)総領町を離れる事に。
候補として岡山県北部の作東町と徳島県が上がっていたが、作東町に決定した。
開催日に徳島は台風直撃だったので、...

作東町は姫路から姫新線に乗り換えて2時間半のところ。落ち着いた田舎町といった感じ。
今回講師の美術家の大倉さんと常連の加藤くんと乗り合わせて最寄り駅に着いたら会場の職員?の方が自家用車で迎えに来てくださっていて、車で会場へ。廃校になった小学校を改造した施設という面では去年までと一緒だが、小学校の教室をそのまま改造した去年までの会場とは違い、新築の施設は綺麗で空調も完備されてその面では快適。
最初に簡単な自己紹介をやって、若尾裕さんによるオープニングのセッション。
常連にはおなじみの雨乞いと人間知恵の輪。
「雨乞い」は全員参加で、雨の降り始めのポツポツといった感じ(手のひらをこする、指を鳴らす)から始まって、徐々に強まって(手をたたくとか)、土砂降りになり(ひざを早くたたいたり、足をバタバタ)、それから小降りになり、止む(逆の行為)というもの。全体の流れを聴きながら、あまり合わせ過ぎないように。
「人間知恵の輪」は数人でグループになり、輪になって手を前に差し出して、適当な手とつなぐ。もつれた状態になるので、それを皆で協力して解いて円にしていくのだが、頭と体が必要で難しいとけっこう全員で夢中になったりする。

大倉さんのワークショップは持ち寄ったり会場側で用意してもらった廃材を真っ白にペイント。ペットボトルを横半分に切った容器に水性の白ペンキを入れてもらって刷毛で自分の選んだ廃材に塗っていく。その間を大倉さんが回って来てアドバイス。大倉さんは声が大きくて居るだけで周囲の空気が楽しくなるような存在感。真っ白に塗るのは廃材(自転車や椅子、車の部品等々)が持っている意味性をとりあえず消すためとか。無心でペイントして、対象物が徐々に真っ白になっていくのは、自分の内面まで真っ白にしていくようで、とても心地よい。

夕食後、ウルス・ライムグルーバーさんによる即興演奏のワークショップ。参加者は体育館(だった建物)に自分の楽器を持って集まり、円形に並ぶ。ワークショップはドイツ語で行われて山田衛子さんが通訳。最近のワークショップ講師の大友さんや巻上さんがある意味サービス精神が旺盛で、ものすごくいろいろな話をしてくれたのと対照的?に元々物静かな人が、通訳が必要な初めての環境という事も手伝ってか、彼のペースなんだか気まずいのか微妙な緊張感で始まる。
即興演奏といっても色々あって、全てのことをこのワークショップでやるのは不可能なので、テーマを決めて、演奏するのをやってみよう、という事で、最初に自分で持参した楽器で、自分が選んだ一つの事を短時間(10~30秒程度)やる、というのを順番にやる。
次に、前回と違う内容でもう一巡。
最後に全員での演奏。指示は開始の指示から終了の指示までの間に3回だけ何かをやって良くて、その3回は、最初の自分の選んだ音と、もう一つのの音と沈黙。
去年の大友さんのポータブルオーケストラと近い感じがしたけれど、もっと寡黙かな。
一通りの行為が終わったら終了の指示が出るかと思ったら、なかなか出ず、不思議な沈黙があり、周囲の環境音とかがよく聴こえた。個人的にはこの長すぎる沈黙は緊張感が持続せず弦に触って微妙な音を出したりしていた。何人かは耐え切れなかったように自然音かなにかに反応して「演奏」し始めて、その「演奏」が終わった後で終了の指示が出た。
演奏後のコメントで、「指示」は守って欲しいとの要望があった。

2日目は、朝食後車で場所を移動。けっこう遠かった。
台風が近づいていて、天気が微妙。
新井英夫さんによるめざましセッションでスタート。野口体操をベースに体をリラックスさせる内容で、良い感じ。
大倉さんのワークショップ2日目は真っ白に塗られた廃材に黒で線を引いていくもの。妙に凝って作品らしさを出さないように、って感じの指示があり(線だけでも、個人差が大きくとてもおもしろい)手書きのストライプは微妙に周囲の空間を歪めるような感覚もあって、大人数で作った作品群を並べるととても面白かった。
午後からの即興演奏ワークショップは、午前のワークショップでペイントした作品群も配置して円に。前日から少しヴァリエーションが増えて、ウルスのサインによる(開始、停止、音量の増減、リズミックに、など)全員の演奏。今回の参加者の傾向かウルスさんの個性か、弱音系でバランスを意識した演奏がとても良かった。
夜の演奏会はウルスさんの抽選によるグループでの演奏がほとんどという事になった。
それから有志による発表が少し。
今までは、そのまま遅くまでセッションとかやっていたが、今回は会場の関係もあって10時で終了。宿泊施設の廊下で宴会となった。

3日目は寺内大輔さんによる目覚ましセッション。
簡単なゲームピースでお目覚め。
ウルスさんの3度目のワークショップは前夜と同じグループで(途中参加者の具合によるメンバーの増減などあり)で演奏し、それに対してウルスさんがコメントを付けるという形で行われた。
ウルスさんのコメントは即興的に発生した出来事を楽しむというのとは違って、演奏の作品性を強調したもの。優しいけれども的確な指示があった。即興では、1度目の演奏は新鮮だが、何度か続けるとマンネリ化してつまらなくなるような事があるのだが、このワークショップではそういう事が無く、確実にレベルアップしたような感じがした。
私のグループは若尾久美、寺内大輔、のトリオで(今回のCMFの中では参加回数ベスト3か)、馴染んでいる事もあり、寺内くんが「演奏」から「行為」へ逸脱していくのがとても面白かったのだが、ウルスさんは戸惑っていたよう。そういう時の対応も含めて、とても誠実なコメントは印象的だった。

さよならパーティーでの水兼シェフ入魂って感じの料理を始め、食事がどれも美味しかったのが印象的。

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山田衛子さんのレポート

CMFが終ってもう1ヶ月以上になりますが、
参加の感想を今の心境のまま、まとめてみたいと思います。

造形美術と即興音楽とには共有できる場が多くあります。
今回、大倉先生のワークショップで自分が直に作業をし、先生の押し付けのない言葉を享受して、考えさせられる事がいくつかありました。

CMFでのワークショップに見られた、表面的なあの、作業の易しさはその背景にある思考の深さと一対一対応していないこと。
逆に、深い思考の意味することがはっきり出てこない、あるいは、指導者である大倉先生がそれを教授しようともくろまないことによって、どれだけ広い、参加者一人一人の参加の幅が出てきていたか。(作品の出来、ということでなく、経験として。)


どちらの場合にも一瞬に呼吸と身体の動きや筋肉の緊張を感じながらたった今、自身で意味を消した物や 無色の時間に働きかけ、新しい意味を持たせていこうと行為をするにもかかわらず、どうしても乗り越えられないこの二つの分野の違いは、音楽では、形として手に取れるものが残らない、ということでしょう。
そして、この違いのせいで、即興演奏を作品として、行為の過程をさかのぼってかえりみる、ということがとても難しく、苦労のいる作業になってしまっています。

それが即興音楽が楽しい活動や偶然的な音楽成立の場としてより以上に高められて扱われることを拒んでいる理由のひとつかもしれません。
これを打開するための経験として、今回のウルスさんのワークショップは意味が大きかったと思います。
即興演奏をして、うまくいった、うまくいかなかった、という感じは演奏者に残るものの、何がどうしてうまくいかなかったのか、を 探っていくためには彼のような、多くの経験とはっきりした指向性を持つ実践の音楽家に助言を求め、演奏の質を高めていく活動を一緒にしてもらうのが一番だと思うからです。

今、終ってから言えることですが、 実は私は今回、二つの点でCMF参加中、とても緊張していました。
ひとつは、通訳という役割がうまくはたせるかどうか。

もうひとつは、CMFの趣旨や進められかた、雰囲気とウルスさんのワークショップのそれの双方を知っている、たった一人の参加者として、言葉を変えて言うならば、双方の微妙なずれのようなものを知っている者として、全てうまくすすむかどうか、心中、とても不安でした。
幸い、ずいぶんに余計な不安でしたね。
多分、今回の日本での経験や出会いの中に、ウルスさんが今、探しているものの方向に近いものを少し見つけたのではないか、と感じました。
(ウィルソン氏の論文の邦訳コピーを何部か配布しましたが、これを読んでいただければ、この辺りの見当がつくのではないかと思います。)

そうそう、ウルスさんが言葉少なめ、なことを理解するには、もしかすると、スイスの文化環境を知るのが良いかと思います。ここでは長くなるので、又、機会をみて私の知る限りのことを伝えられたらと思います。

私は時差からの睡眠障害とあの不安と緊張とでCMF中、ほとんど食欲がなく、水兼さんのせっかくの名料理もあまり食べられませんでした。今、これが心残りです。



山田衛子

2004年の写真

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